日本航空の倒産劇が示すものは

日航の倒産劇が確定しましたが、当然とはいえあの優良株が紙くずになったことに驚き、呆れ、ショックを受けました。おまけに事業会社の倒産で初めて国民負担がなんと440億円も発生するそうです。
一説によると2兆円もの負債があるそうですがこの世界的な大航空会社の倒産劇のことを今更、ああでもないこうでもないと言ってみても始まらず今後、法的整理の中であらゆるリストラを実施し立ち直ってくれることを期待するだけです。そしてこれ以上ズルズルと際限がない税金投入が行われないよう万策を講ずるべきです。従業員やOB等の退職金や年金をもっと引き下げることも必要ですし、不採算路線の思い切った切り捨ても大胆に行うべきです。

国土交通大臣の前原さんが当初力強く公言していた事とは180度異なる結果になり、その甘い見通しも極めて問題ですが、そもそもこんな事態になったのは歴代の経営陣や株主の責任に加えて、悪しき労働組合、長年にわたる政治や行政による甘い見通しや、土建屋との癒着や利権構造、不当な圧力によるもので、その責任は厳しく問われるべきです。
狭い国土に100にも上る空港を乱設し、その半数は赤字、それらに対して航空会社の採算度外視で無理矢理に就航を求めてきた地方自治体や政府の責任こそ厳しく追求されるべきでしょう。こんな馬鹿げたことをしている国はありません。このような危機的事態になってしまった原因と責任を明らかにしない限り前途は真っ暗です。
その意味で自公政権の責任は極めて重いものがあります。尻拭いは全て民主党新政権の肩に重くのしかかってきていますが、これは国会で厳しく責任追及があって然るべきものと考えます。

今度の倒産劇で空全体、特に赤字空港の運営はますます厳しくなることは間違いありません。根本的な手を打たない限り、結果は我々の税金で穴埋めせざるをえません。これは許されることではなく我が国にはもうカネもありません。具体的には廃港の道しか残されていません。
今度の現象は民間一事業会社である日本航空だけの倒産劇と捉えるのではなく、我が国の凋落を象徴するものと考えるべきだと思います。全てが疲弊し制度疲労を起こしております。政治家は無意味な政争に明け暮れているのではなく、我が国の置かれた危機的な現状を正視し、諸策を講じていただきたいと強く念願するものです。